ごんれのラボ

iOS、Android、Adobe系ソフトの自動化スクリプトのことを書き連ねています。

スクリプトを使うことは、ずるいことですか? 悪いことですか?

年末ですね。

今年の総括はまた別の機会に書くとして、年末らしからぬ毒を吐こうかと思います。

読みたくない人はいますぐブラウザの閉じるボタンを押すんだ!

 

えっと、こんなことをいう人が結構いるのです。

「最近なんでもかんでもスクリプトですませようとする風潮があっていかがなものか」

「スクリプトのできない人は生き残れないということか」

 

まぁ気持ちは私にもわかります。

最近「効率的にやるにはスクリプトがいいと思いますが自分は書けません。誰か書いて。タダで」って輩がたびたび出没するので。

正直そんな輩は消えてなくなればいいと思います。

BBSなどでスクリプトについて指南してくれる方々は親切心でやられているのであって、それに便乗してタダでスクリプトを手に入れようというのは、ずるいよなーと思います。

まずは自分で勉強してコードを公開して「ここまでできた。でもここから先が分からない」という段階を踏まない輩には私はなにも教える気はないですし、関わるのも御免です。

そんな輩に力を貸したところで私にはなんのメリットもないですから。

知識を得たいならそれ相応の代償を払うべきですわ。

自分の時間とかね。

もしくは素直に金を出せ。

書籍を買って勉強するでもいいし、勉強会に出向いて講師に聞きまくるでも良し、外部に制作を発注するでも良し。

スクリプトはタダじゃない。

 

じゃあなんで私はスクリプトを公開しているのか。

よく勘違いされるんですが「困っている人を助けたいから」なんて理由じゃないですよ?

一番は「未来の自分のため」。

次に「自分が勉強したときにお世話になった方々への遠回しな恩返し」。

「未来の自分のため」とは、単純に一年後に自分が困ったときに自分のブログをあさればヒントなり答えなり見つかる可能性が高いから。

「自分が勉強したときにお世話になった方々への遠回しな恩返し」とは、自分がブログでコードを公開することでスクリプトを学ぶ人が増えれば情報量が増えるので私一人よりも多くのフィードバックが返せるから。

そんな理由です。

 

ま、そんなことは別にいいや。

本題はここから。

 

さてスクリプトを使うことはずるいことですか?悪いことですか?と問いてみます。

 

スクリプトというのはアプリケーションを作成したメーカーが提供している「機能」であり、ユーザーから見れば「一つの手段」でしかないものです。

InDesignじゃなくてもいいですよ。

QuarkXpressも10年以上前のバージョンからスクリプトで操作できます。

つか、DTP系アプリケーションじゃなくても、Officeのマクロだったり、FileMakerのスクリプト機能だったり、スクリプトはわりと一般的に認知され、活用されているものです。

それがなんでDTPの世界では「ずるい」「なんか嫌い」と言われちゃうんでしょうね。

そんなことを言いつつ自分たちはアプリケーションを駆使して仕事してるじゃないですか。

極論を言えばアプリケーションだって、という話。

 

別に私はすべての作業をスクリプトでやるべきだ!とか、コスト削減!人材削減!とか言うつもりはないです。

やっぱり手作業で仕上げてないデータは汚いですし、品質も高くはないですから。

 

ただね、手作業でやらなくてもいい部分に関しては自動化して、人間はその分他のことに時間を使えばいいとは思います。

PDF書き出すのに技術が必要ですか?

EPS書き出すのに技術が必要ですか?

カンプを5部出力するのに技術が必要ですか?

どれもプリセットなり仕様なりを一回決めてしまえば、あとは同じ作業の繰り返しですよね?

そんなことに必要以上のコストを割くのもバカバカしいですし、そんな仕事にしがみつくしかないようなオペレーターはいりません。

オペレーターは組版なり、校正なり、フォーマット作成なり、他のことに力を割くべきだと思います。

 

また状況的に自動化しないと納期も間に合わないし、一向に帰れないという場合もあります。

1日に1000個POP作るとか、22時に入稿してきたコマデータ300個を台紙に貼り込んで翌日10時に印刷所に入稿とか、ね。

「そんな仕事受けるのが悪い」というのは正論だとは思いますが、そういう仕事をきっちり完遂できるから信頼が生まれ、新しい仕事につながるケースもままあるわけです。

あと単価もいいから利益率も高いんですよね。

で、こういう仕事を完遂するのには手作業なんてしてたら絶対無理。

いや、できないことはないです、人海戦術なら。

でも人海戦術というのは短時間集中なら効果もありますが、長時間続くようであればコストの面からも好ましくはありません。

私の置かれた状況ではコストと品質と納期を両立するのに最適なのがスクリプトだったわけです。

またスクリプト運用のいいところは、その場しのぎの人海戦術に比べ。ワークフローをちゃんと構築して汎用的なスクリプトを書けば、そのスクリプトを再利用することで、次回以降コストを抑えることができます。

これはでかいです。

仕事は利益を生み出すためのもので、常に効率的に、かつ品質を一定以上に保たないといけませんよね。

 

そもそもスクリプトなんてただの手段なんだから、その手段を人が使うことに対して文句言うのはおかしいよね。

うん、絶対おかしい。

 

なんか支離滅裂になってしまったので、ここらでまとめ。

●スクリプトを使うか使わないかは個人の勝手

●「スクリプトに仕事を奪われる」とか言う暇があったら、スクリプトじゃできないところで自分なりの付加価値を生み出せばいい

●だらだら仕事してれば評価されるわけじゃない(少なくとも私が上司なら一生評価しない)

●「スクリプトはタダ」「自動化してるなら単価下げてもいいよね」っていう輩は消えてなくなれ

 

「お前は書けるからそんな偉そうなこと言えるんだ」とか言う人もいそうだね。

うん、言ってれば?

そうしているうちに私は勉強してもっといろいろできるようになるからさ。

いまのスキルを身につけるまでに結構な時間を費やし、お金もかけ、いろんな人の力を借りてるんだ。

それらを活かして仕事して、また情報発信して、なにが悪いのか。

スクリプトが書けて、それを有効に活用できるワークフロー構築ができることに、私なりの誇りがある。

それはデザイナーさんのデザインに対する誇りだったり、昔ながらの組版屋さんの組版にかける誇りと、同じものだと思うよ。